特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ
7.昆虫
ミツバチ・コオロギなど
偏光視能力テスト
青木 清
1
1上智大学生命科学研究所行動生物学部門
pp.578-579
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900842
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目標
社会性昆虫であるミツバチやアリは,天空に広がる偏光パターンを受容することができる。ミツバチやアリは偏光パターンをコンパスとして航行の手段に使っている。昆虫の複眼を構成する個眼の光受容細胞,とくに紫外線受容細胞の位置と配列が偏光パターンの分析に使われている。その光受容細胞の位置と配列は,一般に天空の偏光パターンを読み取れるようになっている。本テストは,昆虫はこの特殊な天空の偏光パターンにあった複眼にある偏光フィルターを使って,天空からの偏光によって作られる複雑な空間的情報を読んでいるかどうかを理解するものである。ミツバチは餌の場所の方向を示すダンスを踊るので,餌の位置を学習させることによって,ダンスを指標として,偏光パターンのわかった偏光板を使った行動のテストによってミツバチの偏光視能力を知ることができる。この偏光視能力テストは,野外において決まった時刻に行われなければならない。それは,偏光コンパスは時刻学習も関与しているからである。
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