Japanese
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実験講座
脳切片培養
Organotypic culture
飯島 敏夫
1
,
柳沢 恵美子
2
,
海野 千絵子
2
,
市川 道教
1
,
松本 元
1
Toshio Iijima
1
,
Emiko Yanagisawa
2
,
Chieko Unno
2
,
Michinori Ichikawa
1
,
Gen Matsumoto
1
1電子技術総合研究所生体機能研究室
2筑波大学情報学類
pp.631-638
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900303
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培養細胞系を用いた神経研究は古くから行われている。しかし生理学的意義がそれらの系で重視されるようになったのは比較的最近のことのように思われる。それは培養技術の進歩とその系に適用する解析技術の進歩の両方に負うていよう。生理学は生体で起こっている現象を説明するための学問であるから,その研究にはでき得る限り生体に近い状態の標本を扱うことが要求される。しかし実際上,優れた解析法がそのような理想系に適用できない場合は多々ある。必ずしも生体系と同一である保証のない培養細胞系を用いる理由づけの一つはそこに求められよう。したがって培養細胞系を用いた研究は常に正常組織での研究と相補的な関係で進行すべきものである。
神経回路の働きを十分に理解する上でもその中に含まれる個々の神経細胞の特質を十分に理解することが必要である。そこには細胞内情報伝達といったテーマも含まれる。このような研究目的に培養細胞系を用いるのはきわめて有効である。高次神経系を対象とした生理実験の難点の一つは測定にかかった細胞の特定であろう。個々の細胞が確認できる培養系ではこの問題は解消される。また,培養系に移せれば標本を数日~数カ月の単位で維持でき,測定期間に余裕が持てるなどのメリットもある。
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