特集 New proteins
細胞骨格・筋関連タンパク質
アクチン結合タンパク質
myosin Ⅰあるいはmini-myosin
小浜 一弘
1
Kazuhiro Kohama
1
1群馬大学医学部薬理学教室
pp.298
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900060
- 有料閲覧
- 文献概要
myosin Ⅰ(ミオシンI)あるいはmini-myosin(ミニ・ミオシン)
■分子量・歴史
一般にミオシンと言えば骨格筋ミオシンに代表されるように,双頭・短尾の形態をとり,生理的イオン強度で尾部が集合しフィラメントを形成する性質を示すものを意味し,分子量は500K台のものである。この分子はその起源により多少の差異はあれ,200K台の重鎖と20K~10K台の2種の軽鎖,それぞれ二つずつ合計6つのポリペプチドより成り立っている。現在では,このミオシンはミオシンⅡまたは通常ミオシン(conventionalmyosin)と呼ばれ,本稿でのミオシンⅠまたはミニ・ミオシン(mini-myosin)と呼ばれるものとは性質を異にするものである。このミオシンⅠは単頭・短尾で集合性を示さないのが特色である。
ミオシンⅠの最初の発見は下等有機生物・アカントアメーバーにさかのぼることができる1,2)。これにはミオシンⅠA(140Kの重鎖と17Kの軽鎖が一つずつで1分子を形成)とミオシンⅠB(125Kの重鎖と18Kの軽鎖が一つずつで1分子を形成する)がある。もちろん,ミオシンⅡも存在するが細胞内局在が異なる3)。ミオシンⅠに対し,これはミオシンⅡの分解産物(S1の様なもの)ではないかという疑問が出されていた。
Copyright © 1990, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.