Japanese
English
特集 高速分子動画:動的構造からタンパク質分子制御へ
Ⅲ.分光によるモニタリング
タンパク質微結晶を測定する時間分解顕微分光技術
Time-resolved microspectroscopic techniques for measuring protein microcrystals
片山 哲郎
1
,
木村 哲就
2,3
,
久保 稔
4
Katayama Tetsuro
1
,
Kimura Tetsunari
2,3
,
Kubo Minoru
4
1徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所
2神戸大学大学院理学研究科
3神戸大学分子フォトサイエンス研究センター
4兵庫県立大学大学院理学研究科
キーワード:
顕微分光
,
紫外可視分光
,
赤外分光
,
蛍光発光分光
,
時間分解測定
,
結晶場
Keyword:
顕微分光
,
紫外可視分光
,
赤外分光
,
蛍光発光分光
,
時間分解測定
,
結晶場
pp.225-230
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201857
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
タンパク質は常に揺らぎ,構造を変化させながら機能している。分子動画法(時間分解結晶構造解析)は,その動的な姿を可視化するために開発された新しい構造生物学的手法である。この手法はタンパク質の構造変化を原子分解能で観測できる優れた手法であるが,微結晶化したタンパク質を扱う制約上,測定技術の面から分子動画の解釈に至るまで,多くの解決すべき問題を抱えてきた。しかし近年,構造生物学,放射光科学,物理化学,計算科学など多方面の研究者が分子動画法の課題に立ち向かい,いまやこの手法は多くのタンパク質に利用されつつある。筆者らは分子分光学の立場から,分子動画法の持つ問題に取り組んできた。分子動画法を使用する際に研究者が抱く率直な疑問の一つは,「微結晶中のタンパク質のダイナミクスは,水溶液中のそれをどこまで反映しているのか?」である。これは決して自明ではないであろう。そこで筆者らは,タンパク質微結晶を取り扱える様々な顕微分光技術を開発し,実際に結晶相で起こるダイナミクスを時間分解測定によりモニターした。本稿では,筆者らが開発した4つの顕微分光技術とそれらを用いたタンパク質微結晶の測定例を紹介する。
Copyright © 2024, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.