Japanese
English
特集 予測と意思決定の神経科学
報酬予測を作る大脳基底核回路の形態学的解明
Morphological re-evaluation of the network in basal ganglia
藤山 文乃
1
Fumino Fujiyama
1
1同志社大学大学院 脳科学研究科 神経回路形態部門
pp.309-313
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101460
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1997年のSchultzらによるサルの電気生理の仕事から,中脳にあるドーパミンニューロンが報酬の予測からのずれ(報酬予測誤差)に応答していることが知られるようになった1)。また,Wickensらはドーパミン投射を受ける線条体ニューロンにおいて,大脳皮質からの入力と黒質からのドーパミン入力に依存するシナプス可塑性が起こることを報告した2)。これらの報告から線条体シナプスは報酬予測誤差に依存した可塑性を引き起こし,大脳基底核の回路を使って時々刻々更新される強化学習を行っているという仮説が提案された3-5)。
この強化学習における線条体内の役割分担を提唱したのがBartoらで,彼らは線条体のストリオソーム・マトリックス構造に着目し,actor-critic仮説を提唱した4)。この説によると線条体のマトリックスは基底核出力部位(淡蒼球内節/黒質網様部)を通じて行動選択を行い(actor),ストリオソームは報酬予測を行い(critic),その投射先のドーパミンニューロンで報酬予測誤差が計算され,そのドーパミンニューロンがさらに線条体へ投射することによってactor-critic学習が行われる。
Copyright © 2013, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.