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大脳基底核の線条体は,大脳皮質の広い領域から様々な情報を受け取り,淡蒼球内節(GPi)および黒質網様部(SNr)から,その出力を送り出している。基底核出力の一部は,上丘などを通じて脳幹,脊髄にも送られるが,本稿では視床から大脳皮質に向かう出力系の構造と機能について述べたい。
基底核―視床からの出力を受け取る皮質領域として,サルでは,運動野(4野)6,15),運動前野と補足運動野(SMA)9,10)(ともに6野),それに前頭前野の一部(8野12),主溝周辺部7)など)が挙げられる。これらの皮質領野もまた基底核に情報を送り出している。筆者らの電気生理学的所見は9,10),4野と6野から線条体に送られた情報が,淡蒼球,および視床の,異なる部位を経由して,それぞれもとの皮質領野に送り返されることを示している。このような閉ループ回路が,前頭前野など他の皮質領野と基底核との間にも形成されている可能性がある。それぞれのループ回路に属するニューロンの活動などから,各ループがどのような機能に関与しているのかを考察したい。また,順行性標識物質による形態学的所見13)と電気解剖的研究8)から,基底核出力を皮質に送る視床ニューロンは,皮質I層へ投射する可能性が高いと考えられる。基底核ループ回路から皮質1層への出力が皮質に与える影響について考え,その役割を推測したい。
The cortico-striato-pallidal and pallido-thalamo-cortical projections originating from, and ending in the area 4 and area 6 have been shown to form two separate closed loop circuits. Presence of another closed loop circuit, originating from the caudoventral part of the prefrontal cortex and passing through caudato-nigro-thalamo-cortical pathway, was suggested by new electrophysiological data.
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