特集 シナプスをめぐるシグナリング
15.受容体トラフィッキング
SNAP23/25
立川 哲也
1
Tetsuya Tatsukawa
1
1理化学研究所 脳科学総合研究センター 運動学習制御研究チーム
pp.532-533
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101075
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興奮性シナプスにおいて,シナプス後膜に表面発現しているグルタミン酸受容体は,構成性エキソサイトーシス/エンドサイトーシスを介した受容体トラフィッキングにより常時発現調節が行われている。さらに,その発現量は活動依存的に長期に増強(長期増強,LTP)もしくは抑圧(長期抑圧,LTD)され,この発現量の変化が記憶や学習の基礎機構であるシナプス可塑性の要因の一つと考えられている。
SNARE蛋白質は真核生物の細胞内輸送において小胞膜とその標的膜との膜融合を担う蛋白質である。小胞膜蛋白質VAMP(Synaptobrevin),細胞膜蛋白質シンタキシンならびにSNAP25の三者はSNARE蛋白質複合体を形成し,小胞膜と標的膜との融合をもたらす。近年,受容体のシナプス膜への挿入におけるSNARE蛋白質の関与が急速に解明されつつある。本稿ではグルタミン酸受容体トラフィッキングにおけるSNAP23/25の役割について,最近の知見を解説する。
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