特集 攻めの安全処方術—引き算処方+多面的アプローチ
扉
家 研也
1
1聖マリアンナ医科大学 川崎市立多摩病院 総合診療内科
pp.1114-1115
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350101114
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本特集では、ジェネラリストが得意技能としておきたい「safe prescribing(安全処方術)」をテーマとして深めていきます。一定の知名度を獲得し、総合診療と紐づいた領域として根付いた診断学と比べると、毎日の診療で繰り返す処方そのものを安全で最適なものとする「処方学」自体が論じられる機会は多くありません。
多剤併用による薬物有害事象を最小限に抑えるための処方の考え方がsafe prescribingの狭義のコンセプトです。しかし、こうした守備的なアプローチだけでは実践の場では不十分です。明確な病名診断が困難な状況でも、エビデンスと病態生理・薬理学の理解を通じて目の前の患者さんの症状緩和をあきらめないこと、患者の個別性に配慮した処方調整ができること、そして必ずしも薬剤のみに拘ることなく、医療者自身の存在、関係性、言葉の「処方」によって患者・家族の助けになること、これらは全て、ジェネラリストに求められる実践的スキルの構成要素であり、より包括的で積極的な「攻める safe prescribing」と言えると思います。
本特集が、読者の皆様にとってジェネラリストの得意領域である「safe prescribing」について再考するきっかけとなれば幸いです。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.