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CASE
患者:72歳、女性。発熱、体動困難を主訴に入院。
現病歴:オーバーラップ症候群(皮膚筋炎、Sjögren症候群、関節リウマチ)で当院外来通院中、免疫抑制薬内服中の患者が、受診5日前より発熱を認めた。受診3日前には、悪寒、咽頭痛、乾性咳嗽が出現した。受診1日前より水様下痢を認め、全身の筋肉痛を自覚した。受診当日に体動困難となり、近医へ救急搬送された。前医来院時、意識清明、体温39.0℃、血圧118/58mmHg、脈拍数99回/分、呼吸数28回/分、SpO2 96%(室内気)であった。体幹部前面に皮疹と左前腕外側に皮疹が散在していた。血液検査ではWBC 9,600/μL、CRP 22.31mg/dL、CPK 1,898U/L、FDP 22.8μg/mL、Dダイマー6.7μg/mLと上昇を認めた。その他、AST 80U/L、ALT 56U/L、LDH 461U/L、ALP 115U/Lと肝酵素上昇を認めたが、総ビリルビンは1.0mg/dLと基準範囲内であった。Naは128mmol/Lと低下を認めた。BUNは36mg/dL、Crは0.98mg/dLと上昇を認め、尿潜血(3+)にもかかわらずRBC 5〜6/HPFと乖離があり、横紋筋融解症が疑われた。腹部エコー検査、造影CT検査を施行したが、明らかな熱源は不明であった。経験的治療としてセフォタキシム1g静注が開始された。発熱、横紋筋融解症、皮疹などの症候から、皮膚筋炎の増悪が疑われ、精査加療のため当院搬送となった。
ROS:項部硬直(-)、眼瞼結膜蒼白(-)、眼球結膜黄染(-)、便秘(-)、血便(-)、黒色便(-)、膀胱刺激症状(-)、下腿浮腫(-)。
既往歴/併存疾患:
#オーバーラップ症候群(皮膚筋炎、Sjögren症候群、関節リウマチ)
#高血圧症
#胆囊内胆石症
#腎結石
#膵管内乳頭粘液性腫瘍
内服歴:アムロジピンベシル塩酸塩2.5mg 1錠/日(朝食後)、プレドニゾロン5mg 1錠/日(朝食後)、タクロリムス水和物1mg 2カプセル/日(朝・夕食後)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠1錠/日(朝食後)、メトトレキサート2mg 3錠/週(朝2錠+夕1錠/土曜に服用)、葉酸5mg 1錠/日(朝食後/月曜に服用)、ランソプラゾール15mg 1錠/日(朝食後)。
生活歴:ADL:自立、喫煙歴・飲酒歴:なし。
家族歴:甥:膵臓がん。
入院時現症:
・バイタルサイン:血圧107/60mmHg、脈拍数95回/分、体温41.5℃、呼吸数16回/分、SpO2 94%(室内気)。
・身体所見:身長152.5cm、体重43.7kg。JCS 0、GCS E4V5M6。全身状態はやや不良。上眼瞼部に紅斑あり。前胸部、体幹部に皮疹あり(図1)。呼吸音 清、明らかな副雑音なし。心音Ⅰ・Ⅱ音 正常、心雑音なし。腹部 平坦 軟、腸蠕動音 亢進減弱なし、圧痛なし。CVA叩打痛 なし。下腿浮腫を認めない。MMT(右/左):三角筋5/5、上腕二頭筋5/5、上腕三頭筋5/5、手関節屈筋5/5、手関節伸筋5/5、腸腰筋3/3、大腿四頭筋4+/4+、膝屈筋群4+/4+、前脛骨筋5/5、腓腹筋5/5。
血液検査所見:WBC 7,600/μL、Neut 96.0%、RBC 391×104/μL、Hb 11.9g/dL、Ht 34.4%、Plt 12.6×104/μL、AST 191U/L、ALT 57U/L、LDH 494U/L、ALP 103U/L、γ-GTP 84U/L、CPK 3,660U/L、CK-MB 19U/L、T-Bil 0.9mg/dL、D-Bil 0.5mg/dL、BUN 28mg/dL、Cr 0.81mg/dL、eGFR 52.9mL/分、Na 129mmol/L、K 3.2mmol/L、Cl 97mmol/L、FDP 27.6μg/mL、Dダイマー11.3μg/mL、PT 13.4秒、APTT 46.9秒、CRP 22.31mg/dL。
尿検査所見:蛋白(+)、糖(-)、潜血反応(3+)。赤血球1〜4/HPF、白血球1〜4/HPF。
画像所見:
・胸腹部CT:両下葉背側に肺炎像の可能性あり。明らかなリンパ節腫大なし。肝腫大なし、脾腫あり。
・腹部エコー:両側腎盂〜尿管拡張あり、結腸全体に腸炎を疑う肥厚あり。

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