特集 —初診・救急外来で出合う—精神疾患と間違えやすい内科疾患
【各論】
Case 7 不可解な脱力発作で陸上競技のタイムが落ちてしまった17歳男性
鹿野 泰寛
1
1東京都立多摩総合医療センター 救急・総合診療科
キーワード:
発作性
,
脱力発作
,
症状トリガー
,
MUS
,
medically unexplained symptom
Keyword:
発作性
,
脱力発作
,
症状トリガー
,
MUS
,
medically unexplained symptom
pp.282-286
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350030282
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Case
患者:17歳、男性(高校2年生)。
家族歴:姉に熱性けいれんの既往あり。母親は片頭痛もち。
現病歴:高校から陸上競技を始め、400m競技の都大会出場を目標に熱心に取り組んでいた。高校1年の秋頃から、タイムが落ちたことをコーチに指摘された。短距離走のスタートを切ってから間もなく、数秒間程度続く、左下肢に力が入らなくなってしまう発作の自覚があった。発作は普段の練習では週3回程度であったが、大会などの緊張を強いられる場面・より本気で走る場面では特に出現する頻度が多くなった。ジョギングやウォーミングアップでは発作が出ることはなかった。発作が出る瞬間の直前には“発作が起きる予兆”がした。
高校入学以前にそのような症状はなく、日常生活では特に気になる症状はなかった。整形外科を受診し、各種MRI検査を実施したが異常はなく、原因不明であるため当科に紹介された。既往歴として幼少期に熱性けいれんが2回あった。
初期研修医がまず問診と身体診察を行った。身体診察では、神経診察を含めて特に異常を認めなかった。研修医から、「心因性ではないか」と相談された。
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