特集 ワクチンのよくある質問に答えます
【状況に応じて必要となるワクチン】
❷破傷風—コンクリートの上で転んだ(犬に噛まれた)ので破傷風の予防ワクチンを打ちたいのですが、何回受けたらよいのですか?/破傷風のワクチンを打ったことがないようなのですが、打ったほうがいいですか?/海外に医学研修に行くので破傷風(Tdap)ワクチンを打ってください!
伊藤 有沙
1
,
森 博威
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院 総合診療科
キーワード:
破傷風
,
予防接種
Keyword:
破傷風
,
予防接種
pp.50-52
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350010050
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米国外科学会(ACS)1)によると、破傷風のリスクが高い創傷は、❶受傷後時間が経過しているもの、❷創面に異物を認めるもの、❸壊死組織や感染徴候があるもの、❹創の深さが1cmを超えるもの、❺神経障害や組織の虚血を伴うもの、❻創の性状が複雑なもの、❼挫創、刺創、熱傷、凍傷を疑うもの、とされている。乳幼児期に 破傷風トキソイドを接種していない成人では、計3回のワクチン接種が推奨されている。初回投与後、3〜8週間後に2回目のワクチンを接種、その後6カ月以上間隔をおいて1回接種する。その後は10年ごとに1回接種することが推奨されている(表1)。米国疾病予防管理センター(CDC)の推奨2)から、乳幼児期に破傷風トキソイドの接種を受けた人は、破傷風リスクの高い創傷の場合は最終接種から5年、低リスクでは10年が過ぎていたら1回接種を行う。また、破傷風のリスクが高い創傷かつ、これまで破傷風トキソイドの接種を受けていない成人では破傷風トキソイドに加えて抗破傷風ヒト免疫グロブリン(IM-TIG)を投与する。破傷風の潜伏期間は3〜21日と幅があるが、症状出現前に迅速に抗体値を上昇させることが重要とされ、IM-TIGの投与を行うことで、4日目には抗体値がピークに達するとされている3)。
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