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External focus(外的焦点)とinternal focus(内的焦点)という用語は,運動学習においてよく用いられる.例えば,バスケットボールをゴールに入れるという課題の際に,動作中の肘関節の角度など,身体内部に対して注意を向けることをinternal focusというのに対し,ゴールに注意を向けてボールを入れることに集中することをexternal focusという.運動学習の効率性に関連する1つの臨床的・学術的トピックスであるが,ここでは運動学習を論じたいわけではない.
先日あるインタビューで,「あなたはどのような医師になりたいですか」という質問を受けしばし考え込み,そして整理する中でinternal focusとexternal focusの言葉が浮かんだ.なりたい自分についての問いは自分に関心が向いているinternal focusな発想である.External focusな発想に基づく質問をするならば,「あなたは(社会に対して・社会において)どんなことがしたいですか」であろう.リハビリテーション医学,あるいはそれを実践するリハビリテーション科医,そしてその医学を志す団体である本学会に当てはめてみる.リハビリテーション科医,リハビリテーション医学会はどうあるべきか,どのようにあるべきか,というのがinternal focus的な発想である.一方で,リハビリテーション科医,リハビリテーション医学会は,世の中に対していったいどのように貢献でき,何ができるかを考えるのがexternal focus的な発想である.どちらが正しいということを論じたいわけではない.ただ,個人的には後者のほうがしっくりくる.
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