連載 ケアフルな一冊『ザ・フィフティーズ』『アメリカ新上流階級ボボズ』
ラララ・ラララ・アメリカ…
坂田 三允
1
1群馬県立精神医療センター看護部
pp.93
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900565
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小学生の頃から青年期にかけて,私にとってアメリカは憧れの対象であった。小学生時代に見た総天然色(と昔はいわれたのだ)映画をはじめとして,テレビのホーム・ドラマに出てくる夫婦,親子の親密性,明るさ,文化的な生活,そして西部劇が演じられる牧場,土地の広大さ,すべてが夢のように思えた。戦後日本の歴代の総理大臣は言えないが,トルーマン,アイゼンハワー,ケネディ…アメリカの大統領は全部覚えている。アメリカは常に世界の指導者としての座を占めていた。
しかし,日本が高度経済成長をとげ,私たち庶民もそこそこの文化的生活を送ることができるようになって,私のアメリカに対する憧れは次第に薄れ,日本という国,あるいは日本人そのものについて考えることが多くなった。同時に,アメリカの影の部分も見え始め,傲慢さが鼻につくようになってきた。ことに,昨年9月11日以降の迷走ぶりには首を傾げてしまう。良くも悪くも,日本はアメリカの影響を強く受けざるを得ない国だ。アメリカは一体これからどうなっていくのだろう。そんな思いでいたときに出会ったのがこの2冊だ。
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