特別記事
「当事者研究」と生命のリズム(前編)—中井久夫の臨床思想に学ぶ
村澤 和多里
1
1札幌学院大学心理学部
pp.356-362
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200906
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「当事者研究」と中井久夫の共通項
人間はね、赤ん坊から「喜怒哀楽」の順番に覚えていくんだけれど……精神を病んだりすると「楽」から順番に感情を失っていくものなんだ。満足すると「喜」、満足できないと「怒」、それが続くと「哀」。でも「楽」っていうのはその3つを超えた感情だね。ゲームに勝つと喜び、負けると怒る。そして負けつづけると哀しい。それでも「もう一度」ってゲームを続けようと思うのが、楽しむってことだな。つまり、「喜怒哀」を全部受け入れて、その先にあるのが「楽」というわけさ。*1
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