研究・報告
痴呆患者における認知機能障害の評価尺度―Short-Memory Questionnaire(SMQ)の地域医療・保健・福祉活動における利用について
牧 徳彦
1
,
池田 学
1
,
小森 憲治郎
1
,
田辺 敬貴
1
1愛媛大学医学部神経精神医学教室
pp.889-893
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901763
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はじめに
超高齢社会を迎えようとしている現在,「痴呆」は大きな社会問題であり,患者当人だけではなく,その介護を担う家族・地域社会の抱える問題・不安は測りしれない.このような社会状況の中で介護保険制度が導入され,平成12年度からスタートすることになった.その基本理念は要介護者・要支援者の自立支援であり,今後は一層の「痴呆」の在宅における介護が期待されている.「痴呆」は主要症状である記憶障害や知的機能の低下に加えて,日常生活活動の低下や身体症状,あるいは行動異常,精神症状などの多彩な症状を呈し,その対応は痴呆の原因となる疾患の種類や重症度により異なる.そのため,早期に専門医療機関による適切な診断・治療を受けることが,その後の適切な対応を考える上で欠かせない.
本稿では訪問看護あるいは介護の従事者が,実際の現場において痴呆患者またはその疑いのある対象者に対して,おおよその記憶障害の程度を把握して専門医の診察を勧める1つの目安になるような客観的評価尺度を紹介したい.
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