特集 在宅ケアにおける医療廃棄物問題
在宅ケアの医療廃棄物にどう関わるか
北村 叔子
1
1神奈川県立第2教育センター
pp.207-211
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901460
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はじめに
病院内感染に関わる訴訟事件,医療廃棄物のバーゼル条約注1)違反,ダイオキシンによる健康障害などが社会問題化してきたのはここ20年くらいのことである。しかし,医療者の間では早い時期から医材の廃棄と感染・環境汚染については問題になっていた。臨床看護場面では,昭和30年代にAU抗原(HBウイルス)の注射針を介しての感染が報告され,肝炎患者に使用した注射針は廃棄するよう指示されていた(当時,注射針は研磨・滅菌して再使用)。注射器も再生利用されていたが,今考えると不確かな再生手法であった。
経血液・体液感染防止の必要が認識され,その対策の1つとして医材のディスポザブル(単回使用)が普及してきたのは,昭和50年代に入ってからである。感染源となる体液は,おおむね洗浄により排水管を経て各病院の処理槽で処理されていた。しかし,洗浄・消毒・滅菌などの再生過程や廃棄管理は現在のようなものではなく,環境汚染と人が感染する機会は少なくなかった。各種薬剤に関する環境汚染や毒性については一部の人によって示唆されていたが,多くはその有効性についてのみ論ぜられたものであった。
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