特別記事
夏の在宅における“脱水”について考える
川畑 雅照
1
1あけぼの在宅医療研究所
pp.555-560
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901340
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ある夏の日の訪問看護記録より
Sさん,86歳,女性。大腿骨頸部骨折後で車椅子レベル。古いアパートに長女と2人暮らし。
この1週間熱帯夜が続いていたが,冷房が嫌いで扇風機しか使っていなかった。アパートの向かいは大きな道路で,日中は排気ガスを避けるため,窓はいつも閉め切っていた。最近なんとなく元気がなく食欲も低下していたが,昨夜より幻覚が見え不穏になったと長女から連絡が入った。緊急で訪問したところ,目はうつろでボーっとしていた。部屋は西日がさしこんで相当蒸し暑かった。血圧96/56mmHg,脈拍124/分,体温37.2℃であった。脇の下を触ってみたところ発汗はなくカサカサに乾燥しており,脱水症と考えられた。
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