書論
訪問看護の匠の技を科学することへの挑戦
山田 雅子
1
1聖路加国際大学看護リカレント教育部
pp.324-326
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688202129
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言語化しづらい訪問看護実践の可視化に挑戦した一冊
訪問看護は、それを利用する人の希望をかなえる仕事であることにどのくらいの人が同意するか。本書は、在宅療養者の思いや希望に看護師が自らの立ち位置を得ることから看護計画を立案し、実践していくためのモデルを提案している。
私もこれまで、つらい治療をしてほしくない高齢がん患者、ラーメンを食べたい心不全患者、どうしても風呂に入りたい終末期患者、東京ドームで野球を見たい人工呼吸器装着者、とにかく自宅にいて子どもたちに「お帰りなさい」を言いたいがん末期の母親などに出会ってきた。こうした人々に出会ってきた訪問看護師たちは、なんとかしてその願いをかなえようとしてきたのではないだろうか。本書の著者らの視点は、このような「在宅療養者の希望をかなえる看護は、制度に基づくフォーマルな訪問看護というよりも、担当する看護師の誠意と情熱に基づくものであり、他者から評価を受ける土俵に登ってさえいない」という課題に向けられている。そして、本書はそうした看護実践を「可視化する」ことにチャレンジしているのである。
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