連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第29回
音楽療法から考える
細馬 宏通
1
1滋賀県立大学人間文化学部
pp.1066-1067
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102677
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神戸の「音遊びの会」UKツアーの中で、ひとつ印象深かったのは、ノードフ・ロビンズ・センター*でのワークショップだった。
ポール・ノードフとクライヴ・ロビンズといえば、音楽療法の世界では知らぬ人はいない。2人は、1950年代から発達障害をもつ児童をはじめとするさまざまな人々と音楽をつくり上げる試みを行なってきた。その大きな特徴は、音楽をただ譜面どおり演じるのではなく、その場にいるグループによって即興性を重視した音楽をつくり上げていくというものだ。その2人がロンドン郊外に創設したノードフ・ロビンズ・センターでは、既成の曲を学ぶのではなく、その場でずっと音楽をつくり上げていく過程が療法のベースになっているという。音楽療法士の沼田里衣さんが「音遊びの会」を、即興音楽に重心を置いて起ち上げたのも、そもそもはこのノードフ・ロビンズの方法に影響を受けてのことだった。
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