連載 訪問看護 時事刻々
今月の話題 診療報酬改定
石田 昌宏
pp.113
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101535
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10年ぶりのプラス改定となった診療報酬。そもそも民主党も自民党もマニフェストにプラス改定を謳っていたから,ほっとしたというより,わずか0.19%だけかと残念な気がした。高齢化の進展や財政の圧迫を考えれば,大きな伸びは最後のチャンスかと感じていたから,これからの見通しを下方修正しなければならないというのが,私の今の正直な思いである。
それにしても診療報酬アップは実に難しい。パーセントでわかりにくければ金額に換算すればわかるが,1%上げるということは3600億円くらい増えるということである。あまり意味のない計算かもしれないが,看護師一人の人件費を500万とすると,7万2000人分に相当。今の訪問看護ステーションの総従事者数(常勤換算)よりも多い。今後,もし大幅なアップが見込まれるとしたら,それは社会保障の枠組みの中で診療報酬を考えるのではなく,そもそも日本は国のあり方として医療をどれくらい重要視するかという,国家観についての議論をしっかりとできる時であろう。そういう政治家を国民が輩出しなければならない。
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