連載 高齢者虐待にどう対応するか・17
自己チェックリストの活用①
和田 忠志
1
1千葉健愛会あおぞら診療所高知潮江
pp.708-711
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101410
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
第16回でも述べたように,施設虐待はしばしば組織的に行なわれます。施設管理者の考え方により,恒常的な虐待行為が行なわれるかどうかは,大きく左右されます。そして,虐待が日常化すると,そこにいる施設従事者が感性を麻痺させてしまう現象が見られます。また,施設の密室性に守られて,外部からの是正の影響力が及びにくくなる傾向があります。施設用の虐待防止マニュアルは各市町村で作成されているとは思いますが,それが施設に送付されても,施設管理者がうまく使用しなければ元の木阿弥です。
そこで,「松戸市高齢者虐待防止ネットワーク」が考案したのは,施設従事者向けの「自己チェックリスト」でした。つまり,施設従事者が,そのチェックリストを行なえば,少なくとも「自分の施設が行なっている行為がどのようなものか」が理解できるような教育的なツールです。かりに施設側が虐待防止に熱心でなく,虐待防止マニュアルなどを適切に活用できない場合でも,研修会などで,ほんの数分間,自己チェックリストを施設従事者が行なうだけで,「大きな啓発の力」をもつと私たちは考えたのです。
施設で働いた経験があり,そして,施設をよりよく変革しようと努力してきた方々と討論を蓄積し,「施設従事者用」と「施設管理者用」の自己チェックリストを,私たちは,作成しました。そのチェックリストは,松戸市内で使用することを前提に作成されましたが,それを全国の皆様に使用していただけるように改変して,「施設従事者用」のみここに掲載したいと思います。なお誌面の都合により2回に分けての掲載となります。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.