特集 訪問看護・介護のこれからの制度設計
在宅医療における医療材料等の適切な供給体制に向けて
畑中 綾子
1
,
小山 朝子
1
,
瀬戸 奈津子
1,2
,
田中 陽香
1
,
長井 晶彦
1
,
花岡 隆夫
1
1第4期東京大学医療政策人材養成講座
2大阪大学大学院医学系研究科
pp.816-821
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101172
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はじめに
高齢化を背景とした在宅医療の推進は国全体の政策動向であり,各市区町村においても,在宅医療や介護をいかに支えていくべきかが重要な検討項目として挙げられている。しかし,現場では,地域における関係者の連携不足など多くの問題を抱えており,その1つとして,在宅における医療材料,衛生材料及び消毒薬等(以下,医療材料等)の適切な供給体制の未整備という問題がある。
入院医療であれば病院が準備している医療材料等は,在宅医療の患者宅では一から揃えなければならない。このとき,在宅医療に必要な医療材料等は,かかりつけの往診医や医療機関が保険請求の範囲で必要な量を支給することとされている。しかし,現実には,往診医や医療機関からは,患者に対し医療行為に必要かつ十分な量の材料の支給がなされていないことがある。そのため,患者・家族は,日常の在宅看護,介護に追われながらも,不足した医療材料等の確保に奔走しなければならず,金銭的な負担だけではなく,心身的な負担も課されることとなる。現在のような患者負担が生じているまま在宅医療を推進することは,在宅へ移行する患者・国民に大きな不安や不信を与えると考えられる。
そこで,誰もが安心して在宅で医療を受けることのできる社会を構築するために,どのような課題を克服すべきか,またどのような策が考えられるかを検討した。
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