連載 わたしのことをわたしから・18
初心を忘れずに……
大橋 晃太
1,2
1みさと健和病院
2NPO血液患者コミュニティももの木
pp.500-501
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101099
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真っ白な天井,カーテンで仕切られた空間に横たわる自分。8年ぶりに,病室のベッドで一夜を過ごしました。といっても,病気が悪化したのではありません。研修医として入職した病院での,患者1日体験のなかでの出来事です。9時消灯の長い夜,昔,自分が入院していた頃のこと,そしてその時出会ったたくさんの患者仲間のことを考えながらうとうとしていました。
僕が急性白血病を発症したのはもう10年前のことです。それまでも体調はあまりよくなかったものの,まさかそんな大病だとは思わず,告知を受けた当初は何だか実感が湧かずにいました。そして治療を進めることを決心した時,頭のなかには「生」か「死」かの2つの文字ばかりが浮かんでいて,その「生」の文字にしがみついて,3年間の加療を無事終えて,今日まで生きてきました。
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