特集 糖尿病の療養支援―知っておきたい最新知識
糖尿病における食事療法の基本的な考え方と実際
幣 憲一郎
1
1京都大学医学部附属病院疾患栄養治療部栄養管理室
pp.834-838
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100924
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はじめに
わが国の糖尿病患者の95%以上はインスリンの効きが悪く(インスリン抵抗性),インスリンの分泌量も低下しているタイプの糖尿病(2型糖尿病)であるとされ,食生活の欧米化による脂肪摂取量の増加(図1)や運動不足,ストレスなどがインスリンの効きを悪くしている要因と考えられています。そして,糖尿病の治療目的は,血糖値を良好な状態に維持することにより,健常人と変わりない社会生活を営めるようにすること,また糖尿病に併発する合併症の発症や進展を防止することにあります。つまり,実践される食事療法は,糖尿病における血糖コントロールの維持だけではなく,健康な生活を営むための栄養バランスを整える役割も担っているのです。
本稿では,食事療法の基本とともに,医療スタッフ側の指導方法にも目を向けて,患者に「糖尿病に合わせた生活を送らせることを目指すのではなく,糖尿病を自分の生活に合わせる」ことに重点を置き,食べることや日常生活のQOLを高めることを主眼として,いかにして自分らしく血糖値を管理するかを中心に考えた,ポジティブな栄養指導の考え方を紹介したいと思います。
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