連載 訪問看護師に必要な口腔ケアの知識・2
全身疾患にかかわる口腔細菌
角 保徳
1
1国立長寿医療センター病院先端医療部口腔機能再建科
pp.761-764
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100908
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口腔と全身疾患の関係
近年,口腔の健康や咀嚼機能は,さまざまな内科疾患や老化,認知症など,身体全体の健康と密接に関連していることが明らかになってきました。誤嚥性肺炎や虚血性心疾患など大きな疾患にかかると老化が早まるばかりではなく,命まで落としかねません。このように毎日の口腔ケアや口腔局所疾患の早期治療は全身疾患の予防の観点からも脚光を浴びつつあります。
口腔内は体温により約37℃という温度で,唾液という水分があり,定期的に養分豊かな食物が通過するという,いわば細菌培地といってもよいくらい細菌にとって繁殖しやすい環境です。そのため,健康な人の唾液1滴には何億もの細菌が生息し,口腔内には600種類を超える細菌が常在するといわれています。ただ,これらの菌は基本的に口腔内では病原性を発揮しません。ところが,これが心臓や肺などのほかの臓器に移るとしばしば病原性を示すのです。
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