特集 高齢者虐待を考える
高齢者虐待への取り組み―東京都豊島区における地域のシステムづくりと連携の実際
松尾 隆義
1
1豊島区中央保健福祉センター
pp.636-641
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100885
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「松尾さん,高齢者虐待,高齢者虐待と言われると辛いなあ」
一人で奥さんの介護をしているAさん(82歳)の言葉です。奥さんと二人暮らしで,介護保険を利用しながら,脳梗塞と認知症で要介護3の奥さんを3年間介護してきています。Aさんは,昔かたぎの生真面目な人で,自分の時間もないくらい一生懸命奥さんの介護をしています。施設利用を勧めても頑として受け付けず,デイサービスとヘルパー派遣,訪問看護をかろうじて利用しています。奥さんに認知症があるため,「時々言うことを聞かなくて,つい手が出てしまう」ことがあるそうです。冒頭の言葉は,前日テレビで報道された高齢者虐待のニュースを見て,私を訪ねてきたときに発せられました。私は一瞬言葉を失ってしまい,改めて高齢者虐待の深みを考えさせられました。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.