連載 在宅で必要なクスリの知識と服薬のコツ・15
皮膚用薬
藤澤 節子
1
1ひまわり薬局
pp.509-512
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100695
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ぬり薬はみな同じ!?
暮れの押しせまった忘年会の席に,電話が鳴りました。利用者さんの家族より,新年を迎えるために入浴をさせている際,椅子にあたる臀部が赤くなっているのみつけ,軟膏を塗ったが不安になり電話をくれたということでした。その利用者さんは,病状の進行とともに車椅子に坐っている時間が長くなり,床ずれ予防のために,年が明けたらマットを用意しなければと思っていたところで,思いのほか血行障害が早くに起こってきたのでした。電話の問い合わせは,軟膏はどれを塗ってよいのかわからず,以前にもらった抗真菌薬を塗ってしまったということでした。
在宅で患者さんとお話ししていると,軟膏の塗り間違いに気づくことがよくあります。足の指に塗るように説明していた抗真菌薬を顔に塗っていたり,患者さんの理解の中では,軟膏はみな同じに思えているのだろうと考えます。市販薬で何でも効く塗り薬が売られているためなのかもしれませんが,実際には皮膚用薬には,寄生性皮膚疾患用薬・化膿性皮膚疾患用薬・消炎,鎮痛,収斂,鎮痒薬・抗ウイルス薬・皮膚軟化薬・ビタミン薬など症状に応じて塗り分けたり,塗り足したりしなければいけない軟膏が多々あります。また,皮膚科の医師は,皮膚の病状にあわせて,その医師独自な軟膏の配合の割合を持っています。皮膚は人体の15%を占める臓器で,全身の健康をはかる「バロメーター」といわれています。皮膚用薬の特徴をよく掴んで在宅に出かけてください。
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