特集 在宅神経難病療養者の意志決定を支える
在宅療養が困難であった人工呼吸器装着患者の訪問看護―その意思決定に関わって
古橋 聡子
1
,
中村 孔美
1
,
当間 麻子
2
1医療法人偕行会訪問看護ステーションきょうりつ
2医療法人偕行会在宅医療事業部
pp.276-283
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100653
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はじめに
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は原因不明の進行性神経難病の1つである。安全かつ操作が簡単な在宅人工呼吸器や他の医療機器が普及するにつれ,在宅人工呼吸器療養者が増えているが,その実数は正確に把握されていない。同時に,最近は在院日数の短縮化が叫ばれ,退院を余儀なくされている事例も多くなっていると言われている。
一方,在宅では家族が24時間365日休みのない介護に追われ精神的,肉体的,経済的な負担を訴えるケースも多い。人工呼吸器を装着した在宅療養者と家族をサポートする地域の体制基盤は非常に弱く,私たち訪問看護師も複合的に絡み合った問題に直面し,苦悩しながら看護を提供している実状がある。
訪問看護師はそのような中で,在宅療養者と家族の「意思決定」の場面に携わる機会がある。最近経験した2事例を通して援助を振り返る。
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