連載 家族にできるケアの手引き―在宅で療養するがん患者の家族のための事前説明ブックレット・1【新連載】
―日常生活のケア法①―食事と口腔ケア
福井 小紀子
1
1国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護学科
pp.954-959
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100360
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■連載のはじめに
近年,末期がん患者の在宅ケア推進のための政策が積極的に投じられ,今後は,在宅療養する末期がん患者の増加が見込まれる。一方,末期がん患者が在宅療養を始める際,多くの家族は「患者の病状の変化への不安」や「家で死を迎えることへの不安」を抱えているが,これらの不安を軽減するための末期患者の在宅療養に関する情報やケアの方法を知る機会はほとんどないのが現状である。
このような家族介護者のために私たちは,看取りに関する情報や,介護の方法や工夫について具体的に記したブックレットを作成した1)。このブックレットの有効性を検討する研究調査段階では,実際に使用した訪問看護師やご家族の方々からも好評を得ている。
ブックレット作成の背景と方法,内容の一部については,昨年本誌で「在宅ターミナルケアを受けるがん患者と家族のための事前説明ブックレット』の紹介」2)と題して掲載した。
その後,ブックレットの全文を見たいという問い合わせが多数寄せられたこともあり,今回,よりわかりやすくなるよう内容を加筆修正し,連載の形で紹介する運びとなった。読者の方には,ぜひ,家庭で介護に当たる家族や家族以外の介護者の不安を軽減し,具体的なケアや看取りの方法を理解・習得していただくために,この手引書を活用してほしい。
第1回は,「日常生活のケア法①」として,食事と水分補給,口腔ケアに関する工夫について紹介する。次回以降は,排泄などの日常生活のケア法,痛みや精神的問題などの症状へのケア法,吸引や在宅酸素療法などの医療処置法,ストレス対処法,そして,死までの経過説明などの看取りに関する情報とケア法について順に連載していく。
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