特集 歩くこと,足元を確かなものに
フットケアで大切な足を守ろう
西田 壽代
1
1駿河台日本大学病院看護部
pp.450-456
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100264
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いつまでも自分の足で歩けるために
ここ数年フットケアは,医療界では特に糖尿病など足病変のリスクの高い疾患への,足を守るケアとして注目されています。少し怖い話をすると,糖尿病が進行することで発症する足病変の場合,下肢切断の約85%は足潰瘍が先行し,その足潰瘍の原因の80~90%が靴ずれなどの外的損傷によるそうです。また70~100%の足潰瘍は,糖尿病の最大の特長である末梢神経障害の徴候をもっているといいます1)。つまり,靴ずれしても痛みを感じないため,気がつくと足の切断にいたるくらい取り返しのつかないことになっているということなのです。逆に言えば,看護・介護を行なう側が足にほんの少しの関心を向けるだけで,その人の足を救うことができる可能性がとても高いということがわかります。
また,健常高齢者(女性)と歩行との関連性を調べた興味深い研究では,爪の肥厚や脱落・巻き爪などがある人は,10m自由速度歩行で標準値より約20%,10m最大速度歩行で約10%遅い傾向にあり,外反母趾・内反小趾グループ,膝・足関節疾患のグループでは10m最大速度歩行が標準より約4%遅いこと,また平衡機能も同様の傾向がある2)というのです。
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