焦点 臨床での看護研究のすすめ
看護の現場からエビデンスを作ろう
川村 孝
1
1京都大学保健管理センター
pp.557-562
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901237
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はじめに
「食事指導をした糖尿病患者で,退院後のコントロールがうまくいかないのはどんな場合なのだろう」「ICUに入室するときガウンを着て帽子やマスクを着用することになっているけれど,本当に意味があるのかしら」……。医学研究は臨床で生じたこんな疑問に十分な答を提供してくれているだろうか。
学問の世界では,動物モデルや摘出臓器での分子生物学的解析が盛んに行なわれている。それはそれで病気のメカニズムの解明,治療や検査に関する仮説の提示という意味でとても重要なのだが,医療そのものの評価ができるわけではない。医療の有効性や副作用は,われわれが日々行なっている日常の行為を検証することによって,初めて明らかになる。つまり,臨床に直接役立つエビデンス(根拠)は,臨床の現場から生まれるのである。したがって,看護婦を含め「医療者」は同時に「医学者」であることが求められる。
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