特集 2000年診療報酬改定で何が変わる?
クローズアップされる診療情報管理の意義
鳥羽 克子
1
1聖路加国際病院ヘルスインフォメーション科
pp.542-548
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901235
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
診療記録は「病院の宝」と言われる。これは,診療記録の存在と位置づけを端的に表わした言葉である。しかし,診療記録を本物の「宝」として意識し,取り扱っている医療機関が現実にどれほどあるのであろうか。
診療記録を単なる「紙の山」として,倉庫の中に,または各科の片隅に無造作に置いている医療機関も少なくない。証明や学会・研究などに用いる時に初めてその山を崩し,長時間かけて目当ての診療記録を出している病院もある。また,診療記録保管のための部屋はあっても専門の管理スタッフがいない,あるいは専任のスタッフはいても診療記録およびその中の情報を十分活用できる体制までは備わっていない,という医療機関が圧倒的に多いのが現状である。診療記録を管理するために,正式な形で設備を設け,人材を配置し,それに見合う作業をしている病院は,いまだに全体の10分の1にも満たないと言われている。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.