特別記事
救命救急と看護業務―除細動器使用のトラブルをめぐって
細野 容子
1
1六地蔵総合病院
pp.174-177
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900099
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はじめに
「『看護婦が患者の心室細動を発見し,医師を呼び,待ち切れずに除細動を行ないました.患者は救命され,患者やその周辺にいた人達に喜ばれたにもかかわらず,看護婦は上司から始末書を書くように指示された』と医師が話していた.」ことを語るベテランの看護婦(Nさん)は,電話の向こうで看護婦であることが情けないという.ICUで活躍し,看護を専門職にしたいと願い,いまは在宅看護に取り組んでいるNさんは医師の不在によって応急の処置をした看護婦への同情と問題視しているのが看護婦でなく医師であったことに打撃をうけたようです.
私は始末書と称するものを看護学生時代と婦長職10年を過ぎた頃に書いたことがあり,教師と上司への不信感をフッと思い出しました.いまは年月を経てその経緯を振り返る必要もないほどたわいもないことのようにも思います.しかし,その時,一瞬であっても教師や上司のことばに従い,看護学生を続け,看護婦としての自分を守らねばと思ったことが卑しく,そのような状況にあったことが哀れに思えてなりません.
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