特集 eラーニングで看護の質をどう確保するか
―済生会吹田病院のeラーニングと融合したナースバンクシステム「くわいプロジェクト」(1)―多様な働き方を実現する新しい人材確保システムをめざして
中島 美津子
1,2
,
森山 美知子
3
1広島大学大学院保健学研究科博士課程後期
2東京警察病院看護部
3広島大学大学院保健学研究科
pp.146-154
発行日 2009年3月10日
Published Date 2009/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101421
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はじめに
看護師不足は日本だけの問題ではない。グローバルな関心事項であり,各国さまざまな取り組みをしている1)。わが国でも日本看護協会が2007(平成19)年度から展開している「看護職種の多様な勤務形態導入モデル事業」などを中心に全国的にさまざまな取り組みがある。筆者はこれまで,働きがいのある看護組織づくりをテーマに,アメリカのマグネットホスピタルを参考に国内外の調査をしてきた。その中で日本での魅力的な看護組織づくりの展開として,取り組まなければならない喫緊の課題が明確になった。それは,恒常的な人員不足である。
さまざまな離職要因の根底にあるこの問題を差し置いて,小手先だけの対策をしても元の黙阿弥となってしまう。同時に,看護労働環境調査の結果,キャリアアップ支援を望む看護師が相当数いることも明らかとなった。そこで,これらの問題を解決するストラテジーとして,大阪府済生会吹田病院(以下,吹田病院)と協力し,恒常的人員不足の根本的解決と教育の向上を同時に可能にする,eラーニングと融合した日本初の病院独自のナースバンクシステム「くわいプロジェクト」の構築を試みた。
eラーニングのシステムおよびコンテンツの開発と管理には,熊本大学eラーニング推進機構の喜多敏博研究室にご協力いただいた。運用したシステムの詳細,内容については喜多敏博氏による論文を参照されたい(本号155頁)。
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