連載 Beacon Lamp・1
「“これは面白いなあ”ということを,なんでもエエですからやってみる」[河合隼雄さん]
久保田 聰美
1
1医療法人近森会近森病院
pp.1-3
発行日 2006年1月10日
Published Date 2006/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100001
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「人の心などわかるはずがない」これは,河合隼雄氏が著書『こころの処方箋』の冒頭で述べられている言葉である。この書は,私がカウンセリングを学んでいる頃に出合った,河合氏の数多いベストセラーのうちの一冊である。また河合氏は,著書において「わかりませんなあ」「難しいですなあ」「面白いですなあ」といった表現をよく使われる。それは,人の心を理解することの難しさと面白さを読者にやさしく語りかけると共に,「そうか,河合先生でもわからないのか……。人の心ってそれだけ難しいし,だからこそ面白いのだな」と思わせてくれて,不思議と元気を与えてくれるものであった。
今回,河合氏へのインタビュアの打診があったとき,正直,私では役不足と感じた。そこで私は,現場でスタッフや患者との人間関係で悩んでいる看護管理者の代表として「対談の達人」河合先生に,インタビューというより逆に話を聞いていただこう,という心構えで臨んだのだった。
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