連載 看護実践モデルの構築・評価・改善—その方法とプロセス・5
「成人期にある高機能自閉スペクトラム症をもつ人の親」を対象としたエンパワメントを促進する実践モデルの構築
川田 美和
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.162-171
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202193
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はじめに
自閉スペクトラム症(以下,ASD)は,「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動に対する反復性やこだわり」によって日常生活に困難が生じる発達障害の1つで,その4分の3 が知的障害を伴わない,いわゆる高機能であるとされている(Chakrabarti & Formbonne, 2001;アメリカ精神医学会,2014)。2005年に施行された発達障害者支援法により徐々に支援体制は整備されつつあるものの,現在においてもASDをもつ人は就労が困難で,親から自立できない人も多い。そして,そのような成人の子どもを抱える親の負担と苦悩は大きい。筆者は,このような親のエンパワメントを促進するための看護実践モデルの構築に取り組んだ。なお,モデル開発に着手したのは2012年で,当時は成人期の発達障害やその支援に関する調査研究は僅少であったため,様々に模索を重ねた。既存の知見で不十分な部分は,自分で調査を実施するしかないこともあり,いくつかの段階を経た。本稿では当時のプロセスを振り返りつつ,必要時,最新データを加える形で執筆した(川田,野嶋,2018;Kawada & Nojima,2020)。
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