研究を志す人のために
研究計画書に至る過程—実験的研究への取り組みを中心として
戸田 悦子
1
1日本赤十字社幹部看護婦研修所
pp.434-443
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201051
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はじめに
最近,看護研究が臨床や教育の現場でたいへん活発に行なわれている。一方,看護研究の質の向上のために,看護大学関係者を中心として,一昨年末に看護科学学会が発足したことは周知のことと思う。この学会の研究発表抄録をみて次のようなことを感じた。従来の看護研究(10年前)では,実験的研究は,どちらかといえば「看護は人間が対象だから実験はできない」という理由からタブー視されていたものである。それが今日では,看護研究全体の方法論からみると,まだ少数ではあるが,実験的研究手法を用いた研究の発表が目立つようになった。このことは看護研究発表にとって,重要な意味があると思う。
草刈氏は,「研究への具体的な取り組み」(「看護研究」第15巻第2号)の稿で,研究的アプローチの理解をめぐって,特に研究方法の選択について,具体的に問題点を明確化しながら説明されている。そしてその例題として調査研究を中心に,一つの研究論文が作成される過程について述べられた。この稿に引き続き,本稿では,看護研究における実験的研究をする上での問題点と必要性について概観しながら,実験的研究の特徴を再度とらえ直してみることにする。また,このことを基礎にして,日頃,学生と迂余曲折しながら実験的研究に取り組んできた経験から,研究計画書の作成前の手順を中心に紹介してみたいと思う。
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