焦点 家族療法の理論と実際
解説
家族療法の理論および技法論(概説)
岡堂 哲雄
1
1文教大学人間科学部
pp.202-214
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201021
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
家族は,本来人間が自分の子孫を産み育て,人間性を培い,さらに価値や財産を次の世代に伝えるためにつくられたもので,時や所が異なればさまざまな形をみせるにしても,歴史の風雪に耐えて維持されてきた小集団である。家族の中で生まれ,死ぬ存在としての人間には,家族はきわめて重い意味をもつ。たとい産院で生まれ,病院で息を引き取ることが多くなっているにしても,常に家族の人々からの心理面の支援が安すらぎの源泉となるであろう。
老若男女といった年齢や性の異なる人たちから構成される家族は,人間という種にとって基本的な必要を満たすものである。身体面の世話,感情面の支え,あるいは知的な交流などの要求や,子どもの養育や行動の制御,意志の疏通や性愛などの欲求は,基本的には家族の関係を通じて充足されるものであろう。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.