焦点 手術を前にした患者の看護
GROUP DISCUSSION
"心臓外科手術に伴う心理的反応"をめぐって
池田 さと子
1
,
稲田 美和
2
,
岡田 康子
3
,
登坂 有子
4
,
長野 ヒロミ
5
1千葉労災病院
2日赤医療センター
3東京医科歯科大学医学部附属病院
4虎の門病院
5北里大学附属病院
pp.347-353
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200358
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問題の提起
登坂 これは既存の研究を集めての考察だと思うのですが,この論文を読んで私は,前回の論文での問題がなおはっきりするのではないかと思ったのです。非常にいろいろな説というか,結論が出されていることと,前回の指摘にもありましたけれども,心理的合併症の発生,これはどういう状態を精神障害と呼ぶかというような定義がされていないので,0から60%という非常なばらつきが生じてきており,これも問題だろうと思います。でも,要は,この最初に書いてある,現在の医療そのもののあり方を考えたとき,この合併症が減少するかもしれない,あるいは合併症を起こすおそれのある患者に,何らかの予防的な処置があるのではないかというようなことで,なされた研究であったと思うのです。
そうして,各研究を見ていくときに,年代においてのばらつきも非常にあるということで,やはり医療の場,医学の進歩に伴って相当影響される面もあるのではないかと推察できます。1つの研究を読むだけで術後に起こってくる精神障害というものの結論を出すことはむしろこわいことだと思いますし,最後の考察の中でそれらのことが非常に詳細に指摘が加えられているように思いました。
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