焦点 国際的に活躍できる研究者をどう育てるか―「看護学国際人育成教育プログラム」から考える
扉
佐々木 明子
1
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科
pp.2
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100407
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ここ十数年のわが国の看護系大学・大学院の急増により,次世代看護職ならびに看護教育・研究職育成の数量的充足は達成しつつある。今後は大学・大学院の質的充足が大きな課題であるが,そのためには次世代教育を担う教育・研究者の育成,すなわち世界に通用する質の高い博士(前期・後期)課程修了者の輩出が,看護界全般の底上げには最も重要である。
わが国におけるこれまでの看護系大学院教育は,海外留学によって看護学修士・博士号を取得した教育・研究者と,主としてわが国の医学・保健学領域で修士号・博士号を取得した教育・研究者が,模索しながらつくりあげてきた経緯があり,まだまだ端緒についたばかりである。現在までに産出されている看護学修士・博士論文は,わが国の社会・文化的背景も含めた独自の看護ケアのあり方やその成果などを明らかにしているが,特に「質的,量的研究成果を国際的に発信する」「看護職の立場からのわが国の医療制度改革提言に向けた国際比較研究を実施する」ことなどを可能にするような論文が生み出される教育プログラム構築までには至っていない。
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