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米国では,がん治療に関連した倦怠感の克服という重要な課題に向けて,研究の蓄積がなされているが,Dr. Schwartzはその運動介入の研究の第一人者である。ワシントン大学看護学部で教育・研究に携わっているが,地域に居住するがん患者とその家族・友人のために,研究結果をもとにした啓蒙活動も行なっている。まさに研究と実践の有機的なつながりを進めている実践家でもある。
本稿は,がん治療に関連する倦怠感が,患者にどのような影響を及ぼすのか,これまでの研究を繙き,身体・情緒・認知そして経済面へ大きな影響を及ぼす問題であることを解説している。さらに化学療法を受けている乳がん患者,造血幹細胞移植患者のこのような問題を解決するために運動が有効であることを紹介している。Dr. Schwartzらの研究データは,運動が生理・身体機能,心理,化学療法の症状マネジメント,QOLを高めるのに有効であるというエビデンスを示している。読者は,本稿を読み進めると「倦怠感を取り除くためには休息が1番」というこれまでの考えに疑問をもつだろう。そして,倦怠感をマネジメントする方法として,患者に運動を勧めていく必要を感じるだろう。しかし,医療従事者が患者に,倦怠感を取り除く運動について,具体的なアドバイスや情報を与えることができていない現状の問題も指摘されている。
加えて,本稿は倦怠感についての調査研究,質的研究,転移がん患者の運動の成果など最新の研究についても概説されている。まさにDr. Schwartzの長年にわたる研究成果が含まれた総説であり,日本でのがん治療に関連する倦怠感の研究の発展に大きく貢献する論文である。
群馬大学医学部保健学科教授 神田清子
For inactive people, exercise may seem like a counter-intuitive intervention for preventing or reducing fatigue, but studies have repeatedly confirmed the benefits of exercise not only on reducing fatigue, but also on improving physical capacity and emotional and physical aspects of quality of life. Preventing or reducing the level of treatment related fatigue and helping patients to maintain their independence and function during treatment, into survivorship and in the metastatic setting, may be one of the primary benefits of exercise during and following cancer treatment. Routine care of cancer patients undergoing treatment and following treatment needs to consider the maintenance of functional capacity as an important component of a comprehensive approach to patient care.
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