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自信をもって母乳育児を適切に導くために 『ヘイル 薬と母乳 MMM原書 第20版』
島 義雄
1
1日本医科大学武蔵小杉病院・新生児科
pp.580-581
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202223
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「授乳中のお薬」に関する不安や疑問に,自信をもってお答えするのが難しいのは,信頼に値する情報になかなか辿り着けないからではないでしょうか。本書は,薬剤の母乳移行と授乳のリスク分析に特化したデータや文献を提供し続け,原著で既に20版を重ねる定評あるリファレンスの待望の邦訳です。その場で素早く参照ができるように,一般名で五十音順に掲載された薬剤には,国内で流通する商品名と薬効のカテゴリー,そして何より今すぐ知りたい授乳の危険度がひとめで分かるように手際よくまとめられています。
「母乳で育てる」は,いまや社会全体の意識となり,たとえ母親に服用治療の必要があっても,授乳を続ける上での影響が小さいと判断できれば,私たち医療者は積極的にそれを励ます立場にあります。「安全性に関する十分なデータがない」という添付文書を盾に,母乳をあきらめることに躊躇のなかった時代とは隔世の感です。実際,ほとんどの薬剤は適正に使用されていれば授乳を控える必要はないのですが,根拠もなく「大丈夫」と言うのも,やはり責任ある態度ではありません。また,母乳に固執するあまり服薬を中断させて,母親が健康を害するようであれば本末転倒というものです。
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