連載 妊産婦を尊重したケアのための国際宣言「ホワイトリボン憲章」を手がかりに考える 人権のはなし・4
—緊急時も!平常時も!—十分な「インフォームドコンセント」とは?
谷口 真由美
,
福澤 利江子
1
1筑波大学 医学医療系
pp.400-403
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202181
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インフォームドコンセントとは,目線を合わせるプロセス
1人1人の妊産婦さんや赤ちゃんへのケアを行う前に,妊産婦さんご本人と,担当医師や助産師が,「最も適切なケアは何か? それはなぜか?」と話し合って決めることが大事です。ホワイトリボン憲章の2つ目にもインフォームドコンセント(以下,IC)について書かれていますが[表],もともとは障害者権利条約の「私たちのことを私たち抜きで決めないで」1)というスローガンがICの大前提です。日本でも旧優生保護法の時代に,本人の意思を無視して不妊手術が行われた問題など,助産師の皆さんもよくご存知だと思います。不妊手術や出産のような不可逆的なこと(取り返しがつかないこと)については,特にICが重要になります。
「この施設ではこうすることになっているから」「その先生とその方法の相性がよいから」という理由で特定のケアや治療を患者さん全員に適用することは,なんだかおかしいと思いますよね。ICは,相手の体と気持ちと状況にそのケアが一番ぴったりかどうかを共に確認して「目線を合わせる」プロセスといえます。
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