連載 裁判例から読み解き,臨床に活かす ゆりかご法律相談・11【最終回】
帝王切開歴のある妊婦の経腟分娩について—福島VBAC訴訟をもとに考える
友納 理緒
1
1土肥法律事務所
pp.1102-1107
発行日 2014年12月25日
Published Date 2014/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200075
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今回のテーマ
昨年(平成25年)の9月17日,福島地方裁判所で,帝王切開後の経腟分娩(VBAC:Vaginal Birth After Cesarean)で出生した児が重症新生児仮死となって死亡してしまった事件の判決が下されました。結果は,医師の敗訴(一部)でした。裁判例をみますと(図),この医師の対応には,大きな問題があったようです。しかし,医師の主張(「被告医院は地域において唯一の産婦人科医院であり,その医院でVBACをしなければ地域に居住する妊婦の出産に困難が生じる」など)からは,産婦人科医師が減少している昨今において,地域のお産を支える医師の重責や悩みも垣間みえます。
そもそも,産婦人科医師のVBACの実施に大きな影響を与えたとされる裁判例が,この判決の5年ほど前に同じ福島地方裁判所で出されました。読者の皆さまのなかでも大きな衝撃を受け,覚えていらっしゃる方も多いと思います。そこで,今回は,この平成20年5月20日の福島地裁の裁判例をご紹介したいと思います。
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