連載 女性骨盤底再入門 いま知っておきたいこと・7
骨盤底トレーニングについて
中田 真木
1
1三井記念病院産婦人科
pp.432-437
発行日 2012年5月25日
Published Date 2012/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102184
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
世界と日本の骨盤底トレーニング
骨盤底トレーニング(pelvic floor training:以下PFMT)は別名Kegel exerciseとも呼ばれ,1948年にカリフォルニアの産婦人科医Arnold Kegelが,肛門や腟の周りの骨格筋を強く収縮させる動作を繰り返すと弛んだ骨盤底を引き締めることができると報告したのに始まります1)。われわれ日本の産婦人科医にとっては,女性排尿障害研究会で紹介されたのが導入の端緒でした。
女性排尿障害研究会は,1989年に尿失禁治療薬の輸入発売と関連して立ち上げられた,主に産婦人科医を対象とする半ば学術的半ば同好会的な集まり(現在は休会)です。この組織の例会で,PFMTは英米への留学から戻った泌尿器科医・看護師によって女性尿失禁の治療法として紹介されたのです。PFMTは以前にも英語の雑誌には載っていたはずですが,日本の泌尿器科や産婦人科には目新しいトピックスでした。尿意をこらえる動作を鍛えるだけで尿もれはよくなるという報告を,研究会に集まった医師たちは驚きながら聞いたものです。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.