研究・調査
助産所で出産した女性における中・長期的な母乳育児の継続状況―母乳で育てたいという女性を誰が支えていくのか
竹原 健二
1
,
野口 真貴子
2
,
佐々木 由理
3
,
嶋根 卓也
4
,
三砂 ちづる
5
1国立成育医療センター研究所成育政策科学研究部
2東京女子医科大学看護学部
3東京大学大学院医学系研究科
4国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部
5津田塾大学学芸学部
pp.246-251
発行日 2010年3月25日
Published Date 2010/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101621
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諸言
母乳育児が母子の心身によい影響をもたらすことは,数多くの研究によって示されている1-3)。WHOも「生後6か月までは赤ちゃんを母乳のみで育て,その後も2歳,もしくはそれ以上まで母乳育児を続けること」を奨励している4)。このように,母乳育児を推進することについては論をまたない。
わが国において,妊娠中の女性の96%が子どもを母乳で育てたいという希望を持っている5)。しかし,実際に母乳育児の継続状況に関するデータを見てみると,産後1か月時では,母乳のみで育てている者は52.5%,産後4か月時では36.8%にとどまっている5)。また,別の調査では産後6か月時では母乳のみが20.9%,母乳とミルクの混合栄養(以下,混合栄養)が72.1%と報告されており,多くの女性が生後6か月以前に母乳のみでの育児を断念していることがうかがわれる6)。このように,母乳育児に対する妊娠中の女性の希望と産後の実態とは大きく異なっている。なぜ,多くの女性の「できることならば母乳で育てたい」という思いが成し遂げられないのであろうか。
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