特集 命をめぐる「話し合い」のガイドライン
いわゆる仁志田のガイドライン成立の経緯と新しい厚生労働省のガイドラインの比較
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.501-503
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100750
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なぜ仁志田のガイドラインは
「いわゆる」なのか
いわゆる「仁志田のガイドライン」は,NICUにおいて絶対的に予後不良と判断された事例に遭遇した時にとるべき手順について,基本的な約束事として作成されたところから,北里大学および東京女子医大のNICUという一施設内における「医学的対応の基準(code)」と呼ばれるべきものである。それに対し,本来ガイドラインとは,「新しい事柄で議論の余地があるものに対し,過った方向に進まないための指針」である。
確かに今回,対象とされている予後不良事例の倫理的対応については,本邦に学問的にも,公的なシステムとしても定まったものがなく,臨床現場は議論の進め方や取るべき態度の方向を示すガイドラインなるものを切望していた。しかし,筆者らが示したA・B・C・Dの予後の重症度による医療的対応のクラス分けや具体的な対応方法,細かい注意などの記載は,むしろ「マニュアル」に近く,ガイドラインとは異なる。それゆえ,仁志田のガイドラインは正しくは「ガイドライン」ではなく,「いわゆる」という言葉をつけてよばれる由縁はここにある。
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