連載 ここがポイント!アレルギーの「保健指導」・2
アレルギーに対する乳幼児期からの予防的取り組みの重要性
大矢 幸弘
1
1国立成育医療研究センターアレルギーセンター
pp.150-156
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201821
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アレルギー疾患が急増した背景
経済的発展とライフスタイルの変化に伴うアレルギー疾患の増加
わが国では高度成長期のただ中にあった約半世紀ほど前から、子どものアレルギー疾患が急増した。第二次世界大戦後に日本よりも早く経済復興を遂げた欧米先進国では、約60年前からアレルギー疾患が急増しており、その増加は、1人当たり国民総生産(GDP)の増加と軌を一にしている。その後、新興国(かつての発展途上国)の都市部でも先進国と同じようにアレルギー疾患が増加し、21世紀の今、先進国よりも有病率が高い国すらある。
こうしたアレルギー疾患の急増は、20世紀の後半から激変した人類のライフスタイルの変化と深い関係がある。これは第一次産業へ従事している人口が減少し、第二次産業の発展を経て第三次産業を主とした産業構造へと変化を遂げた都市型ライフスタイルと、電化された生活環境が関係している。欧米先進国では産業革命後の19世紀頃から花粉症(Hay fever)が少しずつ増え始めたが、本格的な増加はむしろ第二次産業から第三次産業への移行と電化されたライフスタイルが普及し始めた20世紀の後半である。
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