連載 [事例集]新しい健康日本21へのヒント・13
地域の見守り体制をつくる―吉備中央町におけるソーシャル・キャピタル育成の試み
野口 正行
1
,
千田 政子
2
,
伊藤 しおり
2
,
高尾 総司
3
1岡山県精神保健福祉センター
2吉備中央町保健課
3岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野
pp.418-422
発行日 2014年5月10日
Published Date 2014/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102419
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はじめに
岡山県は,もともと民生委員や愛育委員の活動が始まった県として知られている。1910~1920年代(大正から昭和初期)には,幼小児の栄養状態も悪く,感染症に罹患して命を落とすことも少なくなかった。こうした問題に対して,それぞれの地域において住民ボランティアが行政と連携して主体的に対処することになったのが,民生委員や愛育委員の活動の始まりである。
民生委員は全国的組織として普及しているが,人数としては岡山県で2327人という規模である1)。一方で,愛育委員は岡山県で1万2720人と大きく展開してきた4)。
自治体で働く保健師の数が岡山県で80人,岡山県内市町村で500人と,行政だけでは住民の間に見守りの体制をしっかりと作るのは難しい5)。このため,人数規模が大きい愛育委員を中心に高齢者への訪問を行ってもらうことで,地域の見守り体制を充実することと,活動について委員と町保健師とが話し合いを重ねることで,愛育委員活動を活性化することを目的とした。
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