研究
重症心身障害児・者のきょうだい体験―ライフストーリーの語りから
笠井 聡子
1
1奈良県葛城保健所健康増進課精神保健難病係
pp.454-461
発行日 2013年6月10日
Published Date 2013/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102161
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■要旨
重症心身障害児・者のきょうだいとして生きてきた体験を明らかにし,今後のきょうだいを対象とした看護実践への示唆を得ることを目的として,グラウンデッドセオリーによる質的研究を行った。重症心身障害児・者の同胞をもつ,成人に達したきょうだい3名に,これまでのライフストーリーの聞き取りを行った。「幼少期~学童期」「思春期~社会にでるまで」「結婚・出産~現在」の3つの時期において,きょうだいのライフストーリーを構造化した結果,《自分は二の次》から《関わりたいという思い》《同胞より先には逝けない》へのカテゴリの変遷がみられた。このことから,きょうだいに関わる看護職は,《自分は二の次》であったきょうだいの体験を理解し,きょうだいとゆっくり関わる時間をもつことや,きょうだいを肯定,受容するような声かけなどの支援を幼少期から行う必要がある。また親に対しても,きょうだいの寂しさや葛藤への気づきを促し,きょうだいも1人の子どもとして尊重できるよう意識的に関わり,きょうだいとゆっくり過ごす時間を確保できるよう働きかけることが重要である。
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